2013年5月の記事です。

≪2013年2月 2013年6月≫

エレキ的秋田大会(車載DC-DCコンバーターの紹介)

書いた人: spe | 13/05/14 00:33

お久しぶりです.teamエレキ主任パワー系担当のspeです.

前の記事の通り,我々Meisterエコノムーブ部門は秋田大会に行って来ました.車体のことは車班が記事にしてくれると思われるので,ここでは今回の大会の電気系統に関することを書いていこうと思います.
今回の秋田大会の回路構成は以下のようになります(サムネイルでは小さくて見づらいかと思いますが).
秋田大会回路構成(Full)2.PNG
図1:秋田回路構成
今回の秋田大会のエレキ的ポイント,それはズバリ回路図の真ん中に鎮座するDC-DCコンバータです.その他のI-UnitやらC-Unitやらは電流を計測したり電圧を計測したりしてロガー本体にその値を送るだけのものです.
このDC-DCコンバーターの中身の回路がどうなっているかというと実はこれ,前回の記事で製作した双方向昇降圧DC-DCコンバーターの電流測定用のシャント抵抗及び表示用LCD,通信用のUSARTポートを取っただけのものになっています.とは言え,車載用製品ですから実装には気を使い,機械的な衝撃にも頑丈であるように金属ケースに入れました.
DC-DC2外観.jpg
図2:DC-DC外観
装置の制御(スイッチやらボリュームやら)にはD-Sub15ピンのケーブルを改造して作ったもので行います.スイッチやらボリュームやらは更にコネクタで取り替えが容易なようにしました.
DC-DC2制御用コード.jpg
図3:制御用コード
また,ケース内部にできた隙間やインダクタの周りは梱包材(あのプチプチのやつ)を入れて埋めました.インダクタには倉庫に昔からあるアモルファスカットコア(先輩方はコレどこから手に入れたんでしょうね?)の100uHのものを,コンデンサには耐圧100V3300uFのやつを使っています.

DC-DC2中身.jpg
図4:DC-DC内部
で,肝心の「こいつを使って何ができるのか?」ということなんですが,このDC-DCコンバーターは左右対称な4スイッチ式(インダクタを中心としたHブリッジ型)であり,左右どちらにも電流が流れるという特性から,
一方の端子につながっている電圧源の見かけの電圧値を自由に変更可能
ということができるようになっています.ちょっとわかりづらいかもしれませんが,今回の大会の回路構成ではDC-DCを用いた時の等価回路はこのようになります.
DC-DC使用時の等価回路.png
図5:DC-DC使用時の等価回路
つまり,「電池を可変電圧な電圧源として扱うことができる」ということです.
このことは今回のように特電アモルファスを用いた大会では特に強い意味を持ちます.特電アモルファスは低~中電流域では効率が非常に良いものの,高電流域では効率がガクンとおち,モーターコントローラーのボリュームを絞ると銅損の増加により更に効率は悪化します.また,昇圧回生機能を搭載しないため回生ブレーキを使うためにはモーターの逆起電力よりも電圧の小さいもの(主に電気二重層キャパシタ)を用意しなければなりません.まあモーターコントローラーや巻線を自作・改造できればこのような問題は消滅,あるいは軽減することができるのですが.......
さて,このDC-DCコンバーターの効率は24V→16V変換で16V側+2~12Aの電流の時に電力効率97%以上,また24→30V変換で30V側+1.5~12Aの時電力効率98%以上(制御回路の消費電流は含まない)であるため,電池電圧を降圧することでモーターコントローラーのデューティー比を絞るよりも加速時の効率がよく,またギア比を上げることで加速時の電流値を抑えつつ,巡航時では電池の見かけの電圧を昇圧することでスピードを稼ぐことができます.さらに,ギア比の選定を間違った場合でも(今回は自前のテストランで車体のCD値を測定できなかったためその可能性は多分にあった),モーターコントローラーをフルボリュームにしたままで,ドライバーがロガーの表示を見て電池電流を2時間走りきれるような電流値に抑えることができます.
更に,電池の見かけの電池電圧をモーターの逆起電力よりも小さくすることで,モーターから電池に電池を逆流させるいわゆる回生ブレーキもボリューム操作一つでできるようなっています.
なお,この回路構成の場合電池と並列にキャパシタを入れるという案もありましたが,事前のモーターベンチによるシミュレーションの結果,大して取り出せる電力量に変わりがないという結果が得られたので,配線が簡単になることもあり今回はキャパシタを非搭載にしました.
ただ,今回の大会ではこの回路構成もそのポテンシャルを発揮することなく終了してしまったため,本当にこの構成が効率がいいのかはわからずじまいなのですが.......


エレキとしては,以上のように回路構成を組み立て大会の走行シミュレーションをして,車載用の配線をして後は本番での電池の充電や走行中のエネマネくらいしかやることがないかなー,なんて思ってました.しかしところがどっこい,本番前には
・2つ有るロガーの一つが突然電源が入らなくなる
・2つ有る速度計の一つをロガーに繋ぐとロガーが沈黙する(動かなくなる)
という問題が,また大会当日では
・予選終了後に上記のDC-DCコンバーターが動作しなくなっていることに気づく
・予選ではロガーが度々フリーズ.本戦前では電源がなかなか入らない
などというハプニングが連続しました.DC-DCコンバーターについては予選の夜にホテルで修理することができ,原因の特定もできたのですが(原因はFETのハンダ不良という非常に恥ずかしいものでした),ロガーや速度計は倉庫に帰ってから試験した所全く問題なく動作するという困った事態になってしまいました.
今までエレキの回路が突然のストライキをこれほど頻発したことは私の知る限りの過去にはなかったため,正直甘く見ていました.大会では何が起こってもおかしくはない,その認識が薄かったことを認めなければなりません.
次回の袖ケ浦大会は今回の反省を生かしつつ,しっかりと作戦を立てて行きたいと思います.
長文失礼しました.

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秋田大会報告

書いた人: 寺本 | 13/05/12 13:58

 こんにちは。製作で頭がいっぱいいっぱいだったので、
しばらく更新していませんでした。お久しぶりです。
秋田大会へ出場してきました。結果は全くダメで4周、24kmでした。
致命的な問題点がいくつもあり、まともに走ることができませんでした。
これに関しては写真と原因をまとめ、今後の改善の計画を決め次第、記事にしようと思います。

2013-04-28 06.47.47.jpg
僕がテストランでとった写真。日光のおかげで見栄えだけはわりとはいい。

 カウルは秋田大会を意識した形になっているので、来年はこのカウルで秋田を全力疾走させたいところです。

 今後の大会への参加に関してなのですが、6月2日の袖ヶ浦には旧車トリロビート(/reports/econo/2013/01/post-32.html)で参加する予定です。
最初に考えていた計画としては、この大会は3年生は新車、2年生はトリロビートででることで、3年生は記録を、2年生は経験を積むという計画を立てていたのですが、まず新車の改修が間に合わず、そもそも、3年生でさえまともなエネマネをしたことがなく、新車どころじゃないので、このような計画で行きます。
新車は、ちゃんと走れるように仕上がってからでないとエントリーする意味がないので、できるだけ早く、自信を持ってエントリーできるようにしたいです。

 そういえば、秋田といえばきりたんぽなので食べてきました。
DSC_0872.jpg
 醤油だしつゆとよく合い美味しかったです。秋田県のイメージが大きくアップしました。別の店も機会があれば行ってみたいです。

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  • [袖ヶ浦ではお互いにがんばりましょう!!...]

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