TKDが2010年12月 6日に書いた記事です。

エコノ代表を引き継ぎました。

書いた人: TKD | 10/12/06 02:23 | コメント(13)

はじめまして。2011年度のエコノ代表です。

今日は祝賀会に参加してきました。

アドバイスをくださった先輩方、本当にありがとうございました。大変勉強になりました。

 

私エコノ代表は車班で活動しています。これから1年間、車班とエレキ、2年と1年の間の潤滑油として働ていきたいと思います。

今年度の最大の課題は、5月の秋田大会に向けて車体を完成させることです。というのも、車班の製作が未だ始まっていません。これは例年に比べて2カ月ほど遅れています。エレキ主任も言っていますが、テストランは絶対にしたいので、「4月中旬にテストラン」を目標に製作していきたいと思っています。ブログのほうも、車班主任と協力して更新していきますので、どうか厳しい目で見守ってください。

 

 

ここからは操舵設計として

 

今年の操舵設計のメインコンセプトは

①前後輪操舵

②前輪が「キングピン角=0° かつ キングピンオフセット=0°」

③昇降式ホイール

の3点です。設計が心配なので、包み隠さず公開します。危なっかしい点があれば、指摘していただけると助かります。

 

①について

前輪の舵角を抑えるために後輪操舵を導入します。下図は後輪のリンク機構を上から見た簡単な概念図です。学科は材料系(2類)なので、うまい図ではありませんがこれで勘弁してください。

 

後輪操舵のリンク.jpg

 後輪操舵の概念図

 

平行四辺形の一辺をシャフトと見立て、その対辺の中心をロッドエンドなどでバルクヘッドに固定します。この機構なら、シャフトの回転中心が移動しないので、ホイールの回転中心が常に地面との設置点を通るようにできるかなと考えています。回転軸を二つ設置したのも、ホイールの回転中心がぶれないようにするためです。

もちろんこれは2次元の話で、実際は負のキャスターをつけたいので、もう少し複雑になります。

 

また、アライメントを考える際に、2004年度入学のOBさんが残してくれた「アッカーマン解析」なる解析ソフトを活用したいと思っています。このソフト、OBさんが自分でプログラミングしたそうです。すごいですね。

もちろん、この世代の車体は前輪のみで操舵しているので、前後輪操舵用に使い方をアレンジします。OBさんいわく、このソフトは転舵中心が後輪シャフト(固定されてる)の延長線上にあるとして計算しているそうです。ということは、前後輪操舵にするときに転舵中心が前輪と後輪の中心線上にあると仮定すれば、ホイールベースを入力する欄に実際の半分の値を入力することで、前輪の左右の機構がうまくいっているか解析してくれるはずです。あとは、前輪の舵角に対する後輪の舵角を「転舵中心が前後輪の中心線上」という条件で計算してやればアッカーマン機構を実現することができます。

例のソフトを知らない人には通じにくかったかもしれません。すいません。

 

②について

キングピン角をつけると転舵時にポジティブキャンバー(逆ハの字)が付いてしまうのでは?という疑問から、キングピン角は0°にしたいと思いました。キャンバーが付くと効率が悪くなってしまうし、それがポジティブキャンバーであれば旋回性能も悪くなってしまいます。

逆にキングピン角を負にして、転舵時にネガティブキャンバーが付くようにしようかとも考えましたが、設計と製作が面倒になるので今回は見送りました。

キングピン角が0°と言っても、キングピンオフセットも0にしたいと考えています。理由としては

・キングピンオフセットが大きいと段差を乗り越えるときにハンドルを取られてしまう

・キングピンオフセットが0なら、アッカーマン機構を考えやすい

の2点でした。このキングピンオフセットを0にする方法も2通り思いついていて

・ディスクホイールを採用して、ディスクを外側へオフセットさせる

・リンク機構で仮想軸を作る(アイシンさんの受け売り)

今のところディスクホイールを作成する方法を採用しようと考えています。

 

ディスクホイールはリムとハブは金属で、ディスク部分のみCFRPで作成します。ディスクの製作だけは作業が進んでいるので、その画像をアップします。基本的にUDを使い、ハブにねじ止めする部分とリムに接着する部分はクロスで補強しています。プライ構成は、中心にまず円形のクロスを2枚はり(2枚目の写真に跡が見えます)、その上に長方形に切ったUDを45°ずらしながら4枚はりました。さらに台形のクロスを8枚はり、正八角形が出来上がります。片側はこれで完成で、12ミリのロハセルを挟んだサンドイッチ構造にしました。

 

DSCF0398.JPGDSCF0397.JPG DSCF0399.JPGDSCF0400.JPG

 

ただ、今日の祝賀会でOBさんからアドバイスを頂いたので、もう一度設計しなおしたいと思います。今回のディスクは破壊試験をしてデータを得ようかと思います。

 

 

③については後日

今度からはもっと小出しにしていきたいと思います。

 

 

 

 

コメント(13)

Sekki_S (06エコノ駆動系) | 10/12/06 10:58 | 返信

後輪操舵は後輪の保持が難しいから,アイシンなどの車体を参考にして壊れないように設計するのが大事かな。
とりあえず,CADを使って図面を完成させないと何もわからないから作ってみるといいと思う。

匿名からSekki_S (06エコノ駆動系)への返信 | 10/12/06 21:57 | 返信

アイシンの後輪は支持がいくつもあって、たしかに丈夫そうでした。うまく力を分散できるよう、設計してみたいと思います。

2004年の亡霊P | 10/12/07 23:34 | 返信

ディスクホイール、とてもきれいでいい感じですね。
期待期待!

アッカーマン解析なるソフトは、各舵角でのホイールアライメントをcsvだかで吐き出す機能があったと思うので、それをExcelとかで見てみると、ポジティブキャンバーが付いてるかどうか見れると思います。
ご参考までに。

最終案まで言ったら、作図をぜひともして、最終確認をしてください。

中村@first_step | 10/12/09 02:15 | 返信

後輪操舵のリンク機構面白いですね。
仮想中心の動作に完璧を求める思想でしょうか。
具現化にあたり気を付けなければいけない点があります。
アームはどれも支点が3箇所ありますから、走行する上での荷重がかかったときにそれぞれのアームにそれなりの曲げ応力がかかります。
部材に対して曲げ応力がかかる場合は剛性の確保にそれなりの考慮が必要です。

キングピンのお話は「転舵時にキャンバースラスト利用したい」ってことでしょうか?
だとするなら単純にキャスター角大目につければOKではないでしょうか?
もちろントレールはそのままで、

TKD | 10/12/11 14:09 | 返信

お久しぶりです。実は今、ディスクホイールで苦戦中で、アライメントまで頭が回っていません。出来るだけ早く取り組みたいと思っていますので、そのときはまたよろしくお願いします。

TKDから中村@first_stepへの返信 | 10/12/11 14:26 | 返信

剛性確保のアドバイス、とても参考になりました。気をつけて設計したいと思います。

「キャスター角多め、トレールそのまま」ということは、シャフトの取り付け位置をキングピン軸よりも前方にするということですよね。少し考えてみたいと思います。
ただ、ホイールの振れ幅が少し大きくなってしまう(ホントに少し)ので、カウル設計と相談してみます。

あと、キャスター角をつけすぎると走行抵抗が大きくなってしまうという噂を聞いたのですが、本当なのでしょうか。理由がよく分からないので気にするつもりは無いのですが・・

TKDから2004年の亡霊Pへの返信 | 10/12/11 14:31 | 返信

お久しぶりです。実は今、ディスクホイールで苦戦中で、アライメントまで頭が回っていません。出来るだけ早く取り組みたいと思っていますので、そのときはまたよろしくお願いします。

ブログ不慣れですいません。上にも同じ文がありますが、気にしないで下さい。

中村@first_step | 10/12/12 01:27 | 返信

>シャフトの取り付け位置をキングピン軸よりも前方

そうそう
よくキャスター角の説明に「トレールを確保するため」なんてのがありますが、ふつうに設計すればトレールとキャスター角はそれぞれ個別に設定できます。
中国製の5千円自転車でもキングピンは車軸と交差せずにトレールとキャスターを個別に設定されています。

>理由がよく分からないので気にするつもりは無いのですが・・

良い心がけだと思います
悪気があるないにかかわらず噂はよくあります。
その噂に納得できる理由があればよいですが、そうでない場合は、、、、
「朝右足から玄関を出たら売り上げが多かった」
なんてものと同じかもしれません。
もちろん有意義な噂もありますから自分自身で理由を良く考えて納得できるかどうかです。
私の場合その時点で納得できずに不採用になった噂が後ほどに正しいかったことが判明しても後悔したりしません。
それが自分の実力ですから。
もちろん正しく認識できなかった自分の力を反省はします(笑)

「キャスター角をつけすぎると走行抵抗が大きくなってしまうという」

中村の認識だとこれにあといくつかの条件が重なると「あるかも」
ただし今の我々の車両で後輪操舵も取り入れようと設計している車両の切れ角で変化があるようには思えません。

TKDから中村@first_stepへの返信 | 10/12/12 20:51 | 返信

たしかに実力を尽くしての失敗なら割り切れますよね。
サークルに入ってから今まで、一度も自信作を作れたことはないですけれど、どれも納得した作品ではあります。そういう作品こそ自分を成長させてくれたんじゃないかなと。
正直、今度の車体は自信作にしたいですけどね(笑)

キャスター角をつける欠点、1つ思いつきました。いまは切れ角だけを見てアッカーマン機構を計算しているのですが、キャスター角があればキャンバースラストの分だけずれてしまうかもしれないですね。
どれだけずれるのかも計算できれば問題ないんでしょうけど。

TKD | 10/12/12 20:52 | 返信

たしかに実力を尽くしての失敗なら割り切れますよね。
サークルに入ってから今まで、一度も自信作を作れたことはないですけれど、どれも納得した作品ではあります。そういう作品こそ自分を成長させてくれたんじゃないかなと。
正直、今度の車体は自信作にしたいですけどね(笑)

キャスター角をつける欠点、1つ思いつきました。いまは切れ角だけを見てアッカーマン機構を計算しているのですが、キャスター角があればキャンバースラストの分だけずれてしまうかもしれないですね。
どれだけずれるのかも計算できれば問題ないんでしょうけど。

中村@first_step | 10/12/13 07:46 | 返信

いろいろと気にしていることの目的は左右輪の進行方向への矛盾→サイドスリップを最小にしたいからですよね?
この業界の車両の設計時にもよくアッカーマン云々と言われます。
この影響度は旋回半径とトレッドとの比率によって変わってきます。
市販車だと3:1~4:1くらいでしょうか?
秋田の折り返しは8.5Rくらいですから
20:1~24:1くらいになります。
キャンバースラストが発生する源はタイヤ構造にあります。
現時点で計算で求めることは難しいと考えてます。

「キャスターが大きい」→「キャンバースラストを考慮するとアッカーマンに誤差が生じる」
はありそうですが

「キャスターが大きい」→「旋回時にサイドスリップが大きくなる」
ゼロではないでしょうが気にするれべるではないでしょう

計算値はありませんが今使われているIRC14のキャンバースラストは、、、
4~6度のキャンバーで0.02~0.03度の切れ角に相当します。
キャスターによって矛盾が生じるのは左右輪とも同じ方向ですから、、、
仮に対地角が6度程度になる極悪キャスターだとしても
計算値の理想の角度に対して左右輪とも0.03度上乗せした状態になるだけです。
その0.03にたいするサイドスリップの矛盾はごくわずかでしょう。

それより、、、、
足回りを含めた車両全体の剛性が低くてたわみまくりでアッカーマンなんて関係ないだろってことにならないようにしましょう(^^)

中村@first_step | 10/12/13 09:35 | 返信

0.02~0.03じゃなくって
0.2~0.3ですね失礼しました~

TKDから中村@first_stepへの返信 | 10/12/14 09:22 | 返信

たしかにキャンバースラストのせいでサイドスリップが大きくなることは少なそうです。
こう考えることもできます。
キャスター角をつけたことによる転舵時のキャンバーなら、切れ角とともに大きくなるでしょうから、うまい具合に回転内側のホイールのほうが大きなキャンバースラストを生んでくれそうです。アッカーマンの切れ角にすればアッカーマンっぽいキャンバースラストが生まれるので、サイドスリップへの影響はますます小さくなる。

それにしても、「4~6度のキャンバーで0.0~0.0度の切れ角に相当」とは。キャンバースラストってかなり小さいのですね。曲がるときに得られるキャンバーなんて0.5°弱でしょうから、切れ角に相当したときに0が何個つくのか。

無視はしたくないので、小さいものは小さいなりに配慮して設計していきたいと思います。

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