2012年12月の記事です。
書いた人: spe | 12/12/09 01:40
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書いた人: I.F. | 12/12/07 08:22
はじめまして、大変今更ですが先日現役を引退した2012年度エレキ班主任パワー系担当、3年のI.F.です。
引退してから初めて活動報告をすることになってしまい、申し訳ありません。いろいろと余裕がなく、報告は怠っていましたが、きちんと活動はしてまいりました。長くなりますが、ここで一気に報告をさせていただきたいと思います。
これまでに私はロガーの新回路(ハードのみ)などを作ったりしていますが、ここでは7月頃に原型が完成、その後改良し、9月30日の袖ヶ浦大会から使用している自作の双方向DC-DCコンバーターを紹介します。
以下に示すのがその主回路部分です。
Q1,Q2を相補PWM(Q1がオンのときQ2はオフ、Q2がオンのときQ1はオフ)でスイッチングします。Q1のDuty比をαとすると、H(+)の電圧VH、L(+)の電圧VLの間には大体VL=αVLの関係が成り立ちます。H(+)側とL(+)側のどちらからどちらへ電流が流れるかは接続する負荷・電源の電圧で決まり、どちら向きにも自由に電流が流れます。通常の同期整流方式DC-DCコンバーターでは、インダクタの電流が逆流しないように制御を行うことが多いようですが、あえてそういうことはしていません。そのため軽負荷では目的の方向と逆符号の電流がインダクタに流れる期間が存在し、無負荷でもインダクタに交流電流が流れます。
H(+)とL(+)の電圧のフィードバック制御を行いますが、H(+)とL(+)のどちらを制御するかはDIPスイッチで選択できます。電流は制御しません。
MOSFETはFairchild製のFDP036N10Aを使用しています。耐圧は100Vと高耐圧のわりにオン抵抗は小さく、3.2mΩだそうです。ゲート容量は小さく、速度も高速で、なかなか良い奴です。
インダクタはマイスター倉庫に何年も前からある、アモルファスカットコアの100μH, 巻線抵抗7.6mΩ位のものを使っています。
制御回路の電源には高耐圧とするため自作のリニアレギュレータを使用しており、制御回路全体の消費電流は最大で20mA位です。
通常の降圧チョッパ・昇圧チョッパではフリーホイールあるいはブロッキングダイオードで整流をするのでダイオードの電圧降下による損失がそれなりにあります。ところがこのDC-DCコンバーターのような双方向チョッパでは、デッドタイムを除いてQ1とQ2のいずれかには必ずゲートに電圧を加えてオンにするので、MOSFETでの電圧降下はほぼオン抵抗によるもののみです。そのために使い方によっては大変高効率で、例えばVL=20[V], VH=40[V]でH(+)側へ10A出力しているとき約97%(制御回路の電力消費は計算に含めない)という測定結果が出ました。一方、VL=5[V], VH=10[V]でH(+)側へ8A出力の時には90%と電圧比が同じでも効率はだいぶ違うようです。電圧降下の影響が相対的に大きくなるからでしょうか。
このDC-DCコンバーターは上述したように逆流防止をしないので、無負荷で動作させると制御回路の消費電流とは別にH(+)側では通常数十mA、最悪100mA程度電流を消費するという欠点があります。
このDC-DCコンバーターを第2回袖ヶ浦大会、舞洲大会では次のように使いました。
回生用に600F2.5Vの電気二重層キャパシタを10直にしたものを使いました。キャパシタの電圧VLを双方向DC-DCコンバーターでVHに昇圧してやると、モーター側から見ると電圧VH、容量VL/VH倍のキャパシタに見えます。つまり、VHをボリュームで調整できるようにすると、可変電圧・容量キャパシタのように振舞わせることが出来るわけです。VHがモーター起電力より高ければキャパシタからモーターへ、VHがモーター起電力より低ければモーターからキャパシタへ電力が勝手に流れていくので、力行・回生をシームレスに行うことが出来ます。
先日のNATS大会では、以下のような回路構成としました。
S13744-270Rはフルボリュームで入力電流が1.5~6Aのとき効率90%以上なので、通電時は常に、特に電力消費の大きい登坂時にはこの領域で使えるようにすればモーター的には理想的である考えられます。とりあえず、NATSの勾配4%の登り坂で空気抵抗などを無視してフルボリューム6A時のトルクで力の釣り合いがとれるようなギアの減速比を計算してみると11くらいになりますが、取り付けられるギアの組み合わせで減速比が最大となるのは120:20=6:1の6なので、とりあえずこの組み合わせとします。ところが減速比6だと電源24Vのとき、無負荷回転数時の速度が31km/hになります。私たちのような構成ではNATSでは上り坂の平坦なストレートで十分に速度を上げて、その勢いで登坂してモーター電流が上がり過ぎないようにする方法が良いと考えているので、無負荷でこの速度は少し遅いと考えられます。そこで上図のようにDC-DCコンバーターを使用して電源電圧を動作保障電圧の最大の30V(絶対最大定格は40V?)まで昇圧できるようにすると、無負荷時の速度を39km/h程度まで上げることができ、十分加速することが出来るようになります。
また、電源電圧が固定の場合、フルボリュームでは電流は速度と電源電圧によって決まるので、電流をコントロールするためにはボリュームを絞ることになります。ところがボリュームを絞るとモーターコントローラーのPWMにより効率が悪化し、さらに電流計に表示されるモーターの入力電流と巻線電流が対応しなくなるので、ドライバーが巻線電流を効率が良い領域にコントロールするのが難しくなります。そこでギア比を大きめにしてDC-DCコンバーターで昇圧するようにすると、速度が上がってモーターの起電力がある程度まで上がればモーターコントローラーはフルボリュームにして、DC-DCコンバーターのボリュームをモーターの入力電流(∝巻線電流の実効値)を電流計で見ながら操作することが出来るようになります。
ちなみにDC-DCコンバーターはVL=20[V] → VH=30[V]程度の昇圧であれば、効率98%~99%程度で使用できるという測定結果が出ている(測定誤差がどのくらいあるのかが気になりますが...)ので、DC-DCコンバーターの損失は無視して良いと考えました。
バッテリーに並列に11直のキャパシタを接続してバッテリーの電流をある程度平滑化させようかとも考えましたが、試しに11直にして20Vくらいまで充電してみたところ、物によって1.6Vだったり2.2Vだったりと、かなりばらついて25Vまで充電すると一部定格をオーバーするので止めました。
さて、実際に大会で使用してみてどうだったかが問題ですが、例としてNATSのログデータのうち分かりやすい1周分を以下に示します。
グラフの電流はバッテリー電流です。便宜上ラップ計測は坂の頂上から行っています。時刻960~1000[s]の電流波形から、ドライバーがモーター電流を一定にしようとしてくれているのが分かります。やはり刻々と変化しようする電流値をレース中に電流計を見ながら一定に保つように操作するのは少し難しいようで、波形がギザギザしています。(それでもこのラップの波形はかなりきれいな方です。)
DC-DCコンバーターは電流測定機能をつけ、CV・CC制御するのが理想的なようです。
実はロガーはデータ記録のトラブルがずっと以前より解消できておらず、データははじめの30分位しか取れていませんでしたが、平均すると大体1ラップで平均電力37W、ラップタイム3:00程度で、電力を使い過ぎな気はしますが雨天にしては悪くなかったのではないかと思います。
ところが先日のエコノ日記で村上君が報告しているように、開始から25分程度で車体トラブルが発生し、ピットインを繰り返すことになってしまい、あまり良い結果にはなりませんでした。
結局、1年通して私たちの代ではどのレースでもまともに走れずに引退を迎えることとなってしまいました。
思い返すと、私たちの代では様々な失敗をしました。エレキ班としてはモーターを2回破壊させています。
1回目は特電アモルファスモーターS13744-270Rです。
簡単に説明するのは難しいのですが、訳あってモーターから軸を引き抜こうとしましたが、軸とベアリングのはめあいが予想以上にきつくて中途半端にしか抜けず、仕方なく戻そうとしても簡単には戻らず、何とかしなければならないと焦って無理やり押し込んでもとの位置に戻しました。位置は元に戻りましたが回転させると異常な抵抗を感じたので、後日引き抜き工具を作って軸を完全に引き抜いたところ、ベアリングとハウジングの間(側面)に波ワッシャーが挟まりハウジングに亀裂が入ってしまっていました。
波ワッシャーは写真のベアリングの向こうにあったものです。軸を少し引き抜いてベアリングがハウジングから外れた際に、波ワッシャーがずれてベアリングとハウジングの間に入り込んだようです。結局このハウジングは交換することになりました。この件に関して、ZDPさんにはお世話になりました。
2回目はMITSUBA M1048のモーターコントローラーです。
菅生大会直前のテストラン前、車体のセットアップがすべて終わった後、確認のためにモーターに通電して空転させました。勢い良く回るモーター、しかしまもなく「バチッ」と音がして回転が止まり、その後はうんともすんとも言わなくなりました。もしやと思ってモーター本体から出ている電線を見ると、ローターと電線がこすれて被覆が切れて導体が見えていました。金属製のローターを通して動力線と角度センサのグラウンド線がショートし、モーターコントローラーの制御回路内に大電流が侵入、基板のグラウンドパターンを吹き飛ばして致命的なダメージを与えてしまったようです。
この事故は菅生大会の数日前だったので、大会は棄権することになってしまいました。チームのメンバーおよび応援してくださった方々には申し訳ないことをしたと思います。
その後MITSUBAさんに調査をしていただきましたが、修理不可ということでコントローラは再購入することになりました。
車体の構造上、ローターと電線は接触しやすい位置に来ることがありますが、電線は確実な方法で固定しておらず、さらに回転前に危険がないかモーター周辺をきちんと確認をしなかったのがいけなかったのだと思います。
以後、電線は結束バンドで固定し、回転前の確認を徹底するようにしました。
少々のずさんさが大きな損害に繋がる事がありえるということを痛感しました。
他にもいくつかありますが、後輩たちには我々の失敗を教訓として、良い結果を残してくれることを期待しています。
他にも書きたいことはいろいろありますが、あまりにも長くなりすぎてしまうのでこの辺で止めておきます。
これまで応援してくださった方々には本当に感謝いたします。
今後も後輩の応援をよろしくお願いいたします。
書いた人: 村上 翔 | 12/12/01 07:54
先週の金曜日に成田の方でエコノの大会があったので行ってきました。写真があまり手元にないので簡単、粗末ではありますがざっとご報告いたします。
こんにちはエコノの寺本と申します。年末が近くなってきて冬休みに入り僕も帰省し、実家で久しぶりにのんびりしているところです。